広く世の中に知れ渡るにはまだ時間がかかるしれませんが、Spincoasterのキュレーターが今、大いに期待を寄せているニューカマー10組を”NEXTCOMING 2017″として紹介します。
この1年で飛躍的に活動の場を広げたWONKやDiplo主宰レーベル〈Mad Decent〉のコンピレーションにも参加を果たしたKiWi、テレビにも取り上げられたMARQEE BEAC CLUBなど、まだまだ局地的ではあるものの、昨年選出したアーティストも色々とトピックスを作ってくれました。今回選出させて頂いた10組も、そのようなトピックスを作ってくれることを予感させてくれる、1〜2年後の活躍ぶりが楽しなアーティストたちです。
最後には選出したアーティストの楽曲をYouTubeのプレイリストに、また選出の有無を問わず2017年要注目のアーティストを「SPOTLIGHT 2017」としてSpotifyのプレイリストにまとめていますので、是非ご一聴を。
Text by Spincoaster
NEXTCOMINGアーティスト10組 ※A→Z順
JABBA DA HUTT FOOTBALL CLUB
一昨年1stアルバムをリリースし、昨年は日本全国飛び回るかのように多種多様なイベントへの出演を果たした”ジャバ”ことJABBA DA HUTT FOOTBALL CLUB（ジャバ・ザ・ハット・フットボール・クラブ）。盛り上がり続ける日本語ヒップホップ・シーンを尻目に、アンダーグラウンドなヒップホップ・アクト〜ロック・バンド、クラブ・ミュージック系アクトまで幅の広い親交を持つ彼らは、リップスライム直系とでもいうような親しみやすさとキャッチーさを武器としたサウンド、そして愛嬌のあるキャラクター性で、今後もその活躍の場をますます広げていくのではないか。3月リリースの新作『OFF THE WALL』は、きっとそんな予感を確信に変えてくれるはずだ。
Lolica Tonica
〈TREKKIE TRAX〉からリリースした「Make me feel」の衝撃からおよそ一年半。すっかり界隈のアンセムとして定着してしまった同楽曲を超えるクオリティの新作を、先日〈Maltine Records〉よりリリースしたヒイラギペイジとKy7ie.によるユニット、Lolica Tonica（ロリカ・トニカ）。クラブでの機動力も維持しつつも、よりソング・オリエンテッドな側面も打ち出した本作は、彼らの今後の活躍ぶりを期待させるに充分な出来。遂にメジャー・デビューを果たしたPa’s Lam Systemの後を追うような存在として、新世代ならではのセンスを発揮し続けて欲しい。
maco marets
自身でいくつものイベントを主催するなど、積極的にシーンを活性化させてきたようにもみえる若きMC、maco marets（マコ・マレッツ）。落ち着き払った重心の低いフロウや、スモーキーかつジャジーなトラックを特徴とする彼は、1stアルバムを〈Rallye〉からリリースしたことからも分かる通り、ヒップホップやビート・ミュージックのシーン以外の層へもアプローチできるポテンシャルを擁している。また、昨年”NEXT COMING”に選出させて頂いた大比良瑞希とは、イベントで共演も多数果たしているだけに、両者によるコラボなども勝手に期待してしまったりも。
STUTS
昨年待望の1stアルバム『Pushin’』をリリースしたトラックメーカー/MPCプレイヤーのSTUTS。KID FRESINO、jjj、CAMPANELLA、Alfred Beach Sandal、呂布カルマなど、様々なアーティストとコラボを果たした本作からは、とりわけ「夜を使いはたして feat. PUNPEE」がジワジワと話題になり、11月には7インチ化。渋谷WWWをパンパンに埋めたそのリリパでは「2017年は音楽一本で、さらに活動を活発化させていく」といった旨を語っていただけに、これには期待せざるをえないだろう。盛り上がり続ける国内ヒップホップ・シーンで、トラック提供やプロデュースなど、幅広い形での活躍が予想される。
sui sui duck
まだ都内で数回しかライブを行っていないながら、現場で高い支持を得ているのがこのsui sui duck（スイ・スイ・ダック）というお茶目な名前のバンドだ。2015年に結成し、早くもその年の”RO69JACK 2015 for COUNTDOWN JAPAN”で入賞を果たしたというのだからそのセンスには目を見張るものがある。音楽的には「The 1975以降の世代」と呼ばれるバンドの1組と言えるかもしれないが、Daft PunkやPerfume、tofubeatsなどの使用でお馴染みのオートチューンをボーカルに取り入れるなど、ダンス・ミュージックへの目配せも強く感じさせる。1〜2年後にどうなっているかが非常に楽しみなバンドだ。
The Hotpantz
昨年Spotifyの日本上陸とともに業界内で話題となった謎の多国籍ギーク集団、The Hotpantz（ザ・ホットパンツ）。ポップミュージックとしての完成度が異様に高く、展開されるビジュアルや公開されている情報からも只者の集団でないことは明らかである。今後もSpotifyというサービスの可能性を象徴するアーティストとして話題に上がったり、多方面からアプローチを受けたりするのではないかと予想している。おそらくSpotifyも今後彼らを大きくフックアップしていくことだろう。彼らの謎を解き明かすべく、今年はThe Hotpantzに一層の注目を寄せていきたい。
WONDERVER
「WONDEVERはこんなもんじゃない」当事者たちを除き、最もそう思っている人たちは恐らく我々、Spincoasterスタッフではないだろうか。メロディが良い、アレンジにも強い拘りを感じる、ライブのクオリティも高い、メンバーのキャラも良い、熱心なファンもいる。彼らに足りていないのはほんの少しのキッカケだけなのではないか。新しい音源をリリースして、見る目のある大人たちとリスナーに見つかり、早いところ今の状態から抜け出して欲しい。彼らの持つポテンシャルは間違いないのだから。期待を込めて2年連続の選出とさせていただいた。
YUC’e
日夜独自の進化／深化、発展を続けるDTM／同人音楽シーンから、颯爽と登場した女性シンガー／トラックメイカーのYUC’e（ゆーしえ）。キュートなルックスと親しみやすいキャラクターながら、抜群の作曲センスを発揮し、認知を拡大させ続けているアーティストのひとりだ。なかでも一部の界隈でアンセム化しつつある「Future Cαndy」は、DJ WILDPARTYやkzなどが大きな現場でかけるなど、異例の事態にまで発展。Future Bassやグリッチホップが元来持つ現場での破壊力はそのままに、そこに上手く歌メロをハメ込むセンスは中々他に類を見ない才能だ。AiobahnとのコラボEPも〈Maltine Records〉からリリース予定となっており、今年大きく化ける可能性大！
yule
北欧のインディ・アクトを彷彿とさせるオーガニックかつスケールの大きなサウンドを奏でながらも、同時にどこか日本の童謡を想起させるかのような優しく、キャッチーなボーカルが同居した、不思議な世界観を構築する6人組、yule（ユール）。2015年開催の”SPIN.DISCOVERY Vol.03″に出演してくれた際も、圧倒的なライブ・パフォーマンスで多くの初見リスナーの話題をさらっていただけに、今年待望の1stアルバム『Symbol』をリリース後の動きにも期待が高まる。音源、ライブともにクオリティが高く、独自の雰囲気を擁しているだけに、ハマるべきところにハマれば、大きく羽ばたく可能性も高いだろう。
ZOMBIE-CHANG
〈OMAKE CLUB〉からの華麗なデビューを経て、なんと次のリリース・レーベルはあの〈Bayon Products〉！ これまでにYogee New Waves、never young beach、D.A.N.を輩出してきたことで知られる同レーベルに移籍ということで、今年はますます大きな注目を集めていきそうな気配濃厚だ。ローファイでチープ。しかし、独特の歌いまわしと芯の通った歌声で、不思議な中毒性を発揮するその音楽性だけでなく、『GINZA』のカバー・ガールも務めたり、NYLON JAPANなどでもモデルとして活躍するその美貌も相まり、今年はより広いフィールドでの活躍が期待できそう。
10組の楽曲をまとめ聴き！
https://www.youtube.com/playlist?list=PLy8LZ8FM-o0XTAeP99B1EFd51czJycQzI
