FEATURE

Rootscoaster Vol.124 / 古溪一道


熱心な音楽リスナーとしても知られるカメラマン、古溪一道による音楽的ルーツとは

2017.01.18

音楽を中心にウェブ/誌面問わず幅広く活躍するカメラマン、古溪一道氏。洋楽邦楽問わず幅広いアーティスト、イベント、フェスなどでの撮影を手掛ける傍ら、日夜SNS上では新しい音楽をディグし、それを細かに発信する音楽好きにとってのインフルエンサー的存在のひとりとしても知られている。また、ASIAN KUNG-FU GENERATIONのGotch主宰レーベル/メディア〈only in dreams〉の年間ベスト企画にも参加している点からも、その認知度の高さが窺える。

今回はそんな古溪一道氏がRootscoasterに登場。原点〜直近の衝撃まで、自身の人生に於いて大きな衝撃と興奮を与えてくれた3曲を挙げてもらった。

なお、古溪一道氏は来週1月24日(火)から2月12日(日)の期間池ノ上の古着屋STRANGERにてミニ写真展”KAZUMICHI KOKEI PHOTO EXHIBITION mini”を開催するそうなので、気になった方はそちらも是非ともチェックを。

(Text By Takazumi Hosaka)


1. Culture Club / Do You Really Want To Hurt Me

中学生の頃、とあるTV番組でこのMVを目にして、その中性的なルックスとそれまで聴いたことがなかったような音に心を奪われました。
その時はバンド名などを覚えることができなかったのですが、数日後、親父の書斎のラジオからこの曲が流れていたのを耳にして、しばし立ち止まって聴き入り、その時はちゃんとバンド名や曲名をメモして、後日ちょうど表紙を飾っていた音楽雑誌を買いに行った記憶があります。
その頃は全くわかってませんでしたが、今聴くとレゲエやダブの要素も入ったカッコいいポップ・ミュージックだったなと思います。自分はゲイの人たちが作る音楽や映画にも惹かれることが多いんですが、この曲が入り口だったからなのかもと思うこともよくあります。


2. Jeff Buckley / Hallelujah

好きすぎて左腕にそのメロディの音符を刻んだほど好きな曲です。オリジナルはLeonard Cohenですが、タトゥーショップにはJeffの方のバンド・スコアをコピーして持って行きました。美しいということはどういうことかを教えてくれたシンガーです。
このMVはアルバムとは違った音源なのですが、アルバム・ヴァージョンの冒頭ではとても美しくて色気のあるため息を聴くことも出来るので、そちらを聴く際にはヘッドフォンでの視聴をお勧めします。
その『Grace』も大名盤ですが、カフェでの弾き語りを収録した『Live at Sin-é』は、より彼の生々しさが記録されていて『Grace』と同じくらい好きなアルバムでお勧めです。


3. Donnie Trumpet & the Social Experiment / Sunday Candy

近年の作品の中で一番好きな曲です。この流れを汲んだChance The Rapperの『Coloring Book』は去年のベスト・アルバムでした。Chanceの持ってるユーモアと知性と慈愛に満ちたようなフィーリングと、ミシェル・ゴンドリー風味もあるチャーミングなミュージカル仕立てのこのMVがとにかく好きです。この曲のフック部分を歌っているJamila Woodsのアルバムもよかったんですが、その中で、自分の別のルーツでもあるThe Cureの曲の一節を引用していたというのも、何か繋がりを感じて嬉しいことでした。


Message

「自分のルーツは?」と聞かれたらまず思い浮かぶのは、初めてレコードを買ったオフコース、中学生の頃に見たMTVでのポップ・ミュージックを始め、The Clashなどのパンク・バンドやJoy Division〜New Order、The SmithsなどのNew Wave、あとはMadchester辺りかな……とも思ったんですが、今回はこの3曲を選びました。
原点と、静かだったけどかなり大きかった衝撃と、一番最近の興奮、です。新しい音楽は特に大好きで、日々発見する新しい音は、それがそのまま自分のルーツ化していくような感覚もあります。好きなミュージシャンや作家のルーツを辿ると、そのミュージシャン自身の音楽もより楽しく面白く聴くことが出来て新しい風景が広がることもあるので(自分自身もそうでした)、自分の好きなミュージシャンが「この曲はいい!」と言っているのを見かけたら、どんどん積極的に聴いてみることを強くお勧めしたいと思っています。


Profile

古溪一道

1970年岐阜県生まれ。現在東京都在住。
1998年よりフリーランス・フォトグラファーとして、ライヴ写真、雑誌、
WEB、CDジャケット、ポートレート等、音楽関係を中心に活動中。
ライターとしてインタヴューなども行っている。
2017年1~2月にミニ写真展を開催。
Website: http://kazumichikokei.tumblr.com/
Twitter : https://twitter.com/k_kokei
Instagram : https://www.instagram.com/k_kokei/

【写真展概要】

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“KAZUMICHI KOKEI PHOTO EXHIBITION mini”
期間:2017年1月24日(火)~2月12日(日)
会場:STRANGER (東京都世田谷区代沢2-36-26 小坂ビル208)
ウェブサイト:http://strangerclothing0405.blogspot.jp/
営業時間:14:00~22:00 定休日:月曜日
入場無料

Jeff Buckley、Adam Yauch(Beastie Boys)、Thom Yorke(Radiohead)、R.E.M.、Joe Strummer、Pharrell Williamsなどなど、1994年から2016年にかけて撮影したミュージシャンたちのポートレートやライヴフォト数十点を展示する予定です。



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