REPORT&INTERVIEW

CORONA SUNSETS FESTIVAL 2017

国内リゾート・フェスの最高峰! ブッキング担当者へのインタビューも交えながら、写真とテキストで振り返るイベント・レポート

2017年7月8日(土)、9日(日)に沖縄有数のサンセットビーチ・美らSUNビーチ野外音楽特設ステージにて「コロナ・エキストラ」がプロデュースするリゾートビーチ・フェスティバル”CORONA SUNSETS FESTIVAL 2017″が開催された。2日間で15,000人が参加し、過去最大規模で実施された本イベントは、圧倒的なロケーションに加え、今年は例年に比べても国内外から気鋭・人気のアーティストが揃い、音楽イベントとしても注目度の高いイベントとなった。

まず、2017年グラミー賞最優秀リミックス・レコーディング賞受賞プロデューサーであるRACの貴重なライブセットの実現、国内の主要フェスでもヘッドライナーを務めるサカナクションが出演したことが大きなトピックスとして挙げられるだろう。また、Special Othersやクラムボンといった人気アーティスト、D.A.N.、Nurlbarich、iri、starRoなど今注目をあつめる気鋭のアーティストももちろんのことながら、平井大や七尾旅人、DUBSENSEMANIA、Rickie-Gと言ったビーチに映えるアーティストも昨年に続き顔を揃えている。

さらに海外勢に目を向けてみると、CLASSIXX、HOLY GHOST!と言ったいわゆるKitsuné系の人気アーティストに加え、Soul Clap(当日出演キャンセル)やAutografやSlow Hands、そしてD.A.N.との共演も記憶に新しいMndsgnといった新世代のダンス・アクト/ビートメイカー/DJも名を連ねるなど、国内のフェスでも類を見ない非常にバランスの良いランナップであると言えるだろう。唯一近しいフェスを挙げるとするならば”Taicoclub”くらいだろうか。

以上のことを踏まえ、”CORONA SUNSETS FESTIVAL”の日本開催において、立ち上げ時からブッキングを担当している株式会社テレビ朝日ミュージックの藤井紀公氏に現地でインタビューを敢行した。今回のブッキングについて、そして企業イベントならではの苦労になどついても語ってくれた。

Interview Photo by Kohei Nojima


―今回のブッキングはいつ頃からスタートされましたか?

藤井:去年(2016年)の12月頃からですね。

―”CORONA SUNSETS FESTIVAL”のブッキングの方針を教えてください。

藤井:元々海外でもやっていたイベントなので、初年度から海外に添ってやっているんですが、海外ではどっちかというと今はEDMに寄っているところがありまして。なので、我々は元々のコンセプトだけを抽出してブッキングしているって感じですね。簡単に言うと”ビーチに合う音楽”っていうところです。

―本国とのコミュニケーションや約束事などはありますか?

藤井:あんまり細かくはないんですが、向こうから推奨リストみたいなものは送られてきます。まぁ無視していますけど(笑)。
音さえ合っていれば何にも言われないです。とは言え、1年目はGorillaz Sound Systemを呼んだりとか、音的にはあまり合ってるとも言えないんですが。日本でやるのに海外のマニアックな人ばかりを呼んでもお客さんは入らないので、その辺りはバランスを見ながらですね。今年はさらにローカライズしてサカナクションを呼んだりとか。RACもバンド・セットではロック調ですしね。あんまり海外ではない感じですよね。

―RACをこのタイミングで、しかも日本で初めてのバンド・セットでの出演というのは、すごいことですよね。

藤井:個人的にRACのバンド・セットがとても観てみたくて。DJセットは以前に日本でもやってますし、それだといつも通りじゃないですか(笑)。
海外でも3月以来やっていないこということで、「リハも長くやらせてくれ」みたいな話もありましたが、リハを観た時点でやっぱりバンド・セットで良かったなって思いました。RACのバンド・セットってドラム以外全員歌うんですよ。ボーカルに合わせて曲を作っているので、かなりバラエティに富んだライブを披露してくれると思いますよ。

―先程もおっしゃったように、今年のラインナップではサカナクションやSpecial Others、クラムボンなどといった国内の人気アクトが例年以上に目立ちますよね。

藤井:まず、今回はステージが2つに別れたので、それぞれのステージのコンセプトを変えようというところが大きかったです。メイン・ステージ(GRIFFIN STAGE)は今までと殆ど変わらずで、サカナクションが入っただけって感じですね。で、もう一つのCROWN STAGEは、最初はDJだけでやるつもりだったんですが、どうせならバンドがいいんじゃないの? ってことになりまして。もっともっとチルアウトできる空間にしようってことでそっちに寄せたんですよね。

―なるほど。コンセプトを分けた結果、バリエーションが広がったと。

藤井:GRIFFIN STAGEは1日中踊らす感じで、昼間はゆったり踊らせて、夕方はサンセットに合わせた音楽を作って、最後はしっかり踊らせる、みたいな流れを作っていて。その一方で、CROWN STAGEは昼間で終わってしまうので、ずっとチルアウトできる音楽をライブで魅せていけたらなと。

―GRIFFIN STAGEはD.A.N.、Nulbarich、iriなど注目度の高い若手も積極的にブッキングされていますね。

藤井:単純に枠がこれまでより広がったので、国外のアーティストをたくさん呼ぶよりは、もう少し分かりやすいアーティストを入れて、間口を広げたいといなという想いがありました。海外はハウス〜ディスコくらいの狭いジャンルでやっているんですが、僕はもう少しブラック・ミュージックやファンク、ソウル、ヒップホップもアリだと思っています。逆はEDMとまでは言いませんが、もっとアゲた感じでも良いかなと思っています。

―今年は例年の倍近い来場となるそうですね。やはりブッキングによるものでしょうか?

藤井:僕は色々なイベントを手掛けているのですが、年一開催を続けていく中で、3年目にイベント自体に人がついていないと、そのイベントは終わりだなと思っているんです。で、今年が3年目なんですけど、チケットはアーティスト発表する前に例年の総来場者数の半分くらい売れていたんですね。それくらいイベントとしての認知度が高まった。それにプラスして今回のメンツということもあり、その相乗効果で今年は集客がグッと伸びたっていう感じですかね。単純にブッキングだけでの集客ではないと思っています。

―ちなみに、沖縄県内からと県外からの来場者の割合はどのような感じなのでしょうか?

藤井:前半戦というか、アーティストを発表し始めた頃のチケット購入者は殆ど県外のお客さんですね。最初の1000枚〜1500枚くらいの購入者の割合で言えば、県内の方は2割を切ってますね。で、逆に直前とか当日券は殆ど県内のお客さんになるので、最終的には五分五分くらいに落ち着きますね。

―今回のような企業の主催イベントならではのメリット、デメリットがあれば教えてください。

藤井:メリットはチャレンジできるってことですね。僕が主催でいきなり沖縄でこんな大規模のイベントを打つっていうことは、現実的に考えたらすごく厳しいことなので(笑)。
大体イベントっていうのは3年〜5年くらいかけて、だんだん黒字にしていくのが通常ですけど、最初の時点からこういった大きなイベントができるっていうのは企業イベントならではですよね。

―逆にデメリットはありますか?

藤井:デメリットはグローバルとのコミュニケーションが必要なので、100%自分が呼びたいアーティストを呼べる訳ではない。そういったところですかね。

―対アーティストに関しては何かありますか?

藤井:やっぱりありますね。企業イベントということでブッキングは難しくなります。少なからずギャラは上がりますよね。海外のアーティストと日本のアーティストってちょっと違っていて、海外のアーティストって「いつもの1.5倍出してくれるなら出ます」みたいな感じなんです(笑)。
それに比べて、日本のアーティストってお金だけじゃ出ないんですよね。「出る意味」や「おもしろそう」っていう+αがないと出てくれないんです。

―日本のアーティストの方がある意味難しいと。ただ、通常のイベントよりも高い出演料をアーティストに対して支払っているということは、音楽に対してしっかり貢献しているという見方もできますよね。

藤井:アーティストに企業の色が着いちゃう可能性がありますし、もっと上のクラスのアーティストだと広告契約や協賛が付いていたりもしますからね。「出たいけど、出れない」というパターンもあります。イベント自体が良いものでないと企業イベントは本当に難しいですね。

―でも、このイベントに関してはロケーションが素晴らしいので、アーティストにとってもかなり魅力的なのでは?

藤井:そうですね。このロケーションはかなり武器になっています。ちなみにサカナクションは彼らがこのイベントのことを知っていてくれたので、けっこうすんなりと決まりました。イベントとしての認知度も上がってきてるのかなって実感しましたね。

―最後に藤井さんが思う、”CORONA SUNSETS FESTIVAL”の一番の魅力を教えてください。

藤井:音楽ももちろんそうなんですが、トータルで楽しめるということじゃないでしょうか。ロケーションも装飾もお酒もご飯もコンテンツも、1日中トータルで楽しいイベントだということがこのフェスの魅力だと思います。


イベント2日間を通して印象的だったのは、ここに来るオーディエンスの目的が本当にバラバラであることだった。それは藤井氏が最後に語った「トータルで楽しめるイベント」の裏返しでもある。音楽を聴きに来た人もいれば、それ以外の目的で来た人もたくさん見受けられた。そんな中、最大公約数的な存在として圧倒的な盛り上がりをつくったサカナクションは、やはり別格の存在であったと思う。

また、個人的には2日間のハイライトでもあったRACのバンド・セットでの再来日を希望したいところだ。想像以上にバンド然としており、Tow Door Cinema Club「Something Good Can Work」やFoster the People「Houdini」のリミックスがバンド・アレンジで飛び出すなど、見どころも満載で非常にピースフルな空間であった。「Let Go」は最後に聴くことができたが、次回はRivers Cuomoとの共演も是非とも期待したい。


【イベント情報】

“CORONA SUNSETS FESTIVAL 2017”
日程:2017年7月8日(土)、9日(日)
会場:美らSUNビーチ野外音楽特設ステージ
出演者:

【7/8】
Autograf
RAC
SOUL CLAP
平井 大
NAOKI SERIZAWA
SPECIAL OTHERS
D.A.N.
七尾 旅人
DUBSENSEMANIA
Rickie-G

【7/9】
サカナクション
Classixx(DJ SET)
Holy Ghost!(DJ SET)
Mndsgn
starRo
クラムボン
Nulbarich
iri
RITTO×OLIVE OIL
SAIRU
DJ HIKARU

主催:Anheuser-Busch InBev Japan

オフィシャル・サイト:http://corona-sunsets.jp/

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