INTERVIEW

唾奇 × Sweet William

「糞な過去と今をバラ売りするのも楽じゃない」――Wネーム・アルバムで話題を集める唾奇 × Sweet William オフィシャル・インタビュー

KANDYTOWNのIO、YOUNG JUJUと共にBCDMGの楽曲「Same As」への参加や、CHICO CARLITOのヒット曲「一陽来復」への客演などでメキメキとその頭角を現してきた沖縄在住のラッパー/リリシストの唾奇(ツバキ)と、昨年リリースした自主制作アルバム『ARTE FARSCO』で、特にその収録曲「Sky Lady feat.Jinmenusagi,Itto & kiki vivi lily」が各メディアから高評価を受けたビート・メイカー、Sweet William(スウィート・ウィリアム)のふたりがタッグを組み作り上げたWネーム・アルバム『Jasmine』が遂に先週リリースされた。

本作には既に話題となっているスウィートな美声を持つ女性シンガー・kiki vivi lilyを迎えた先行シングル「Good Enough」や、先日元SKE48のメンバー平松可奈子が出演ているMVが公開された「Made my day」、Jinmenusagiを客演に迎えた「Girl」、唾奇が2015年にリリースした代表曲「道」のRemixなどを収録。
そのクラシックス感漂うジャジー&メロウなビートに加え、隠と陽を絶妙に操ったライミングの融合が聴き手を引き寄せる”組み合わせの妙”的作品となってる。また、沖縄の方言が混ざった唾奇のリリックも独創的な魅力を放っている。

今回はそんな唾奇とSweet Williamのふたりを迎えたオフィシャル・インタビューを掲載。ふたりの出逢いから本作の成り立ち、今後の展望までを語られている。

なお5月28日(日)には渋谷のManhattan Records店内にてリリース・インストア・ライブの開催も決定。当日は彼らのライブに加え、タワーレコード渋谷店、マンハッタンレコード購入者のみの共通先着特典引換会も行われるので、こちらも是非チェックを。


―おふたりが楽曲制作をスタートした経緯を教えてもらえますか?

唾奇:中3の終わりくらいからダンスを始めたんですが、まったく友達が出来ないってのと、体だけで表現して1番になるって不可能だと悟って辞めました。ラップを始めた理由は暇つぶしです。

Sweet William:僕は元々ヒップホップは好きだったんですが、MPCという機材を知ったのが製作を始めるキッカケでした。自分で触り始めてからはとにかくハマりまくってました。ピアノは少しだけ触れたので、自分でこういうメロディーを作りたいっていうのがビジョンにあったんですよね。

―名古屋のSweet Williamさんと沖縄の唾奇さん、地元か違うおふたりがアルバムを制作するに至った経緯や出会いを教えて頂けますでしょうか?

唾奇:出会いは沖縄の観光地国際通りのパラバルって言うバーです。3〜4年くらい前、当時雇われ店長してたんですが朝の10時から朝方の5時までずっとヒップホップかけてて、たまたまShuren The Fireに反応して店に入ってきたのがWilliamでした。アルバムを作る過程は僕にビートを作れる友達がまったく居なくて、ずっと一緒にやってるwilliamとやろうってなったのがキッカケです。僕自身言ってる事がネガティヴな事ばっかなんですがWilliamのビートをフィルターとして通すと一気に感じ方が変わるんですよ。音楽をやり続けるに至って彼は一生の財産です。

Sweet William:お店には「あ、ここヒップホップ流れてるー」って軽い感じで店に入りました。沖縄のラッパーていうのも始めてだったし、その後、唾奇が愛知まで送ってくれたDEMOもカッコよくて、「一曲やらない?」って僕から誘ったのが最初の製作でした。

―お互いの第一印象は?

唾奇:大学生か何か……。

Sweet William:がらわるっ

―アルバム『Jasmine』が完成して、今のおおふたりの率直な感想を教えてください。

唾奇:このアルバムをキッカケに色んなプレイヤーと繋がりたいです、僕自身は既に2枚目に移行してます。

Sweet William:やっとできたなーって感じです、他に無い音楽が出来たなって思います。

―アルバムのアナウンスがされて色んなメディアに注目のニューカマーとして取り上げられることが増えたように思います。アルバム発売を迎えて心境の変化などはありますでしょうか?

唾奇:とりあえず続ける事だと思いました、「音楽で食う」ってのはそう言うことだと思います。誰にでも燻ってる時期ってあると思うんですが、当たり障りが無いと当たりもしない触りもしないんですよね。ならやる以外選択肢は無いと思います。

Sweet William:自分の音楽をもっとたくさんの人に聞いてもらえる機会が増えたなって思います。特に心境の変化は無いですね。やりたいと思った人としか製作しないのは変わらないし、これからも自分の好きなサウンドを作り続けたいと思います。

―今作の『Jasmine』というタイトルに込めた意味を教えてください。

Sweet William:タイトル自体、唾奇が沖縄出身なので、沖縄を連想させるような意味合いの言葉がいいなって話し合ってました。タイトルの『Jasmine』は唾奇の好きなさんぴん茶からきてます。

唾奇:Jasmineは沖縄では主流のお茶で、僕も日頃から飲んでるですが、花言葉に「香りの王様」、「愛想の良さ」、「優美」って意味があるんです。僕と真逆で意味的には自分に対する皮肉です。

―『Jasmine』のアルバム・ジャケット何処かお二人の隠れ部屋のような意味深なイラストですが、もしコンセプトなどがあれば教えて下さい。

Sweet William:イラストはPitch Odd Mansion(以下、POM)のディレクター、国枝とイラストレーターのayakiに担当してもらいました。好きなエッセンスの入った良いジャケットに仕上がったと思います。最初の1枚目はPOMで作り上げたいねって喋ってたので、出来て嬉しいです。

唾奇:僕もすごい気に入ってます。可愛らしい見た目ですが、良い意味で聴く人の耳を裏切ると思います。

―今回、アルバムを制作する上でどのように進行していきましたでしょうか?また大変だったことはありますか?

Sweet William:僕がイメージして楽曲を作って唾奇に歌ってもらうのと、唾奇のアカペラをもらって僕がビートをのせるふたつのやり方で製作は進めました。サクサクできるかなっと思ってましたが、思いのほか難航して時間は結構かかりました。「Good Enough」がキッカケというか突破口になって、この一曲が出来た後はスムーズに進みました。

唾奇:途中、僕のスランプでWilliamのビート4曲くらいボツらせたんですよね……。お互いすごいナーバスになったんですが、雰囲気を一気に変えてBPMの遅い曲「Good Enough」を作ったんですが、そっからはかなり早く進行出来ましたね。

―制作期間はどれくらいかかりましたか?

Sweet William:最初に作ろうって話し合ったのはかなり前ですが、本格的に製作に入ってからは半年くらいかかったと思います。

―Sweet Williamさんはジャジーなコードとズレ感のあるグル―ヴィーなドラムが特徴ですが、影響を受けた、または参考にしたプロデューサーなどはいらっしゃいますか?

Sweet William:好きなプロデューサーはたくさんいます。もともとは日本のヒップホップをたくさん聴いてて、ある時期を境に海外のヒップホップを聴きまくる様になって。洋楽の90年代のヒップホップとジャズを掘りまくってた時期があるので、そこら辺りの音楽には結構影響受けてると思います。

―Sweet Williamさんは普段、トラックを制作する上でどのように進行していきますか? また現在使用されている機材も可能でしたら教えてください。

Sweet William:まずは自分のメロディーを形にするとこから始めます。そこからSEだったりリズムを付けたり ちょっとずつ肉付けしていく感じで曲を作ってます。今はMASCHINE(Native Instrumentals)を使ってシーケンスを組んでます。

―唾奇さんは人間味が溢れたリアルで飾らない、かつ毒々しいリリックが特徴ですが、楽曲を作る上で意識していることはありますでしょうか?また同じく影響を受けたアーティストなどはいますか?

唾奇:とりあえず何処まで行っても現実的にリリックを書いてます。身の丈を超えず小くもならずをイメージしてます。糞な過去と今をバラ売りするのも楽じゃないので、表現の幅を広げたいってのも今の目標ですね。

―今回は客演陣がKiki Vivi LiilyさんとJinmenusagiさんの2名だけですが、このおふたりはどのような理由から抜擢されたのでしょうか?

Sweet William:Kiki Vivi Lilyとは 前のアルバムで一緒にやった事もあって、「Good Enough」のビートが出来たタイミングですぐ連絡しました。絶対ハマるなって思って。実際イメージした通りになったので今回も一緒に出来て本当に良かったと思います。Jinmenusagiくんとは 唾奇と絶対誘いたいねって最初の段階から話してたので、僕の家に集まってワイワイ話しながら製作を進めました(笑)。

唾奇:Kiki Vivi LilyはWilliamの影響で僕も好きになりました。アルバムも聴いたんですが、メロディーの引き出しと美声は唯一無二だと思います。Jinmenusagiは多分僕が17くらいから聴いてたと思うんですが、昔からずば抜けていかしてました。Jinmenusagiと曲をやるのは昔からの夢でもあったんです。両者ともこれから色んな曲をmakeできたら良いなーと思ってます。

―「Made my day」のMVでは平松可奈子さが参加されていますね。リスナーにとっても意外な組み合わせだったと思うのですが、このMV撮影はどのような形で?

Sweet William:アンジーという喫茶店での撮影だったんですが、実は僕の行きつけのお店です(笑)。可奈子さんの雰囲気と合うんじゃないかってもともとは國枝と話し合ってて。スムーズに撮影も進んでとても楽しかったです。

唾奇:すごい楽しかったです。メインを平松可奈子さんに置いていたので、暇な時はオセロしたり寝たりしてましたすいません(笑)。

―おふたりのMVや映像関係の大部分はレーベルのShintaro Kuniedaさんが撮影されていますね。おふたりにとってShintaro Kuniedaさんとはどういう存在でしょうか?

唾奇:わりと真面目に一番でかい存在です。今の環境を作ってくれたのはPOMで、Mansionを作ったのは國枝なので、彼の存在が無ければ人生ごと変わってたと思います。

Sweet William:僕は付き合いがすごく長くて。学生時代からの付き合いなので、考えがすごく合いやすいです。色んな場面で意見をもらったり、映像に関しては全てやってもらってるので、みんな頼りにしてるし。製作においては大切なパートナーって感じですね。

―おふたりが所属するPitch Odd Mansionについて教えて頂けますでしょうか?

唾奇:POM自体はレーベルでもなければクルーでもないらしいです。ほとんど実態のないものだと思います、僕はわかりません(笑)。

Sweet William:ラッパーやダンサーもいるし服作ってるやつもバンドマンもいるのでジャンル分けは難しいです。ただ、唾奇だけ年下だけど、他はみんな同い年だし付き合いもすごく長いのでとてもやりやすいです。クリエイターの集まりみたいな感じです。

―最近お気に入りのアーティスト、楽曲などはありますか? また、今後一緒に仕事をしてみたいアーティストは?

唾奇:Nulbarichの「NEW ERA」めちゃくちゃ好きです。ラフにポジティブって最高ですね。一緒に曲を作りたいアーティストは5lackさん、青葉市子さんです。

Sweet William:青葉市子さんですね。

―それぞれ今後の展望を教えてくさい。

唾奇:有名になりたいですね、沖縄に人が沢山集まれるパーティーがしたいです。沖縄にはものすごくカッコいいアーティストが沢山いるのでチェックしてほしいです。

Sweet William:今回は共作でしたが、今後は僕も唾奇もそれぞれ別のヴィジョンがあるので、自分の作品を作るのに集中すると思います。僕はビートのみの作品やシンガーを交えた作品、自分が好きなアーティストをプロデュースしていこうと思います。

―最後になりますが、リスナー/ファンに一言お願いします。

唾奇:部屋、街、カーステ、クラブの中、誰かの日常の中で『Jasmine』が流れてたら嬉しく思います。

Sweet William:唾奇のラップも僕のビートもどっちも楽しめる作品になったし、2人だから出せた色のアルバムになりました。色んな場所で流してほしいです。


【リリース情報】

唾奇 X Sweet William 『Jasmine』
Release Date:2017.04.19 (Wed.)
Label:Manhattan Records
Cat.No.:LEXCD17008
Tracklist:
01. South side ghetto
02. 語リ
03. 白内
04. Kikuzato (Pianiment Remix)
05. 街から街
06. The girl from Yosemiya
07. Good Enough feat kiki vivi lily
08. Made my day
09. Frenchness
10. Girl feat Jinmenusagi
11. Let me
12. 道 -Tao- (Soulera Remix)

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