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Interview / Ossie


「1番の目的は俺の音楽でみんなを踊らせること」 —Ossie インタヴュー

2014.11.02

OssieことOssie Aneke(オシー・アネケ)が注目されるきっかけとなったのは、彼が2011年にリリースした2つのEPだろう。ひとつはロンドンのアンダーグラウンド・パーティーが主宰する〈Lightworks〉からリリースした、まさに先日共演したKerri Chandlerが世に広めてきたようなディープ・ハウスにアフリカンなパーカッションをちりばめた『Tarantula』。そしてもうひとつは、Kode9が主宰する〈Hyperdub〉からリリースした、UKファンキー/UKガラージの進化形へのアプローチが感じられる『Set The Tone』だ。より注目されたのはどちらかといえば後者のEPで、2011年の〈Hyperdub〉は、Burialが久々にソロの作品(『Street Halo』)を、首領Kode9はマスターピース『Bluck Sun』を発表した一方で、Hype Williams、Walton、Morgan Zarate、Funkeystepz、そしてOssieといった新鋭たちが〈Hyperdub〉からの初リリースを重ねたことで、レーベルそのものが耳目を集めた年だったというのが大きかった。
2012年以降は、〈Hyperdub〉からのリリースではトライバルなリズムを積極的に取り入れてUKファンキー/UKガラージ進化形に挑みながらも、UKハウスをリードしてきたレーベル〈20:20 Vision〉や、ブライトンの新興ハウス・レーベル〈Wolf Music〉から、ヴォイスサンプルを多用したディープ・ハウスの作品をリリースしている。以下のインタヴュー中に、「ハウス・ミュージックは豊富な種類を擁しているものだ」と述べている部分があるが、おそらく彼も近い将来、ハウスとUKファンキー/UKガラージのプロダクトを混成させた作品でハウスのさらなる種類を切り拓くだろう。すでにDJセットではハウスに少し寄る形でそれに近いものを実現させている。
またOssieは、Black Orenge Juiceという3人組ユニットとしても活動をしており、昨年に〈True Panther Sound〉(Girls、Delorean、King Kruleなどの作品をリリースしているレーベル)からEPをリリースしている。こちらは、メンバーにヴォーカルがいるのでソロよりは少しプロデュース的な部分が強いが、アフリカンなリズムやファンクネスといった部分にはOssieらしさが残っている。

Red Bull Music Academy 2014の参加生の中には、何名かすでに実力に加え知名度もあるアーティストがおり、Ossieが参加していた第1期には、元Dirty Projectorsのメンバーで、現在はAvey Tare’s Slasher Flicksのメンバーとして活動するAngel Deradoorianや、Diploが主宰する〈Mad Decent〉に所属しており、昨年ミックステープが話題になったZebra Katzなどがいた。第1期参加生の中ではOssieも知名度がある方ではあったが、彼はまだまだこれからもっと有名になる。今年で設立10周年を迎えた〈Hyperdub〉の今後を担い、さらにはJames BlakeやMount Kimbieらの同世代の先駆者と共に、UKからクラブ・ミュージックを盛り上げていく存在になるだろう。

Ossie Interview

(Interviewer & Headear Photo by Hiromi Matsubara, Interpreter by Mike Sunda)

©Yasuharu Sasaki / Red Bull Content Pool
©Yasuharu Sasaki / Red Bull Content Pool

—出身はイギリスのどちらですか?

イースト・ロンドンのイースト・ハムだよ。

—音楽を作り始めたきっかけは何ですか?

8歳ぐらいの頃に、音楽はいったいどうやって作られているのかということに夢中になってから、様々な方法を試して音を作ってみたのが、こうして今に繋がってるよ。

—音楽がどうやって作られるのかに夢中になり始めた当時は何を聴いていたんですか?

ちゃんと音楽制作を始めたのは11歳の時で、その時はThe Neptunes、No I.D.、Timbalandを夢中で聴いていたよ。

—もともとはヒップホップがお好きなんですね。

そう。最初はヒップホップのトラックを作ってたんだ。ダンス・ミュージックを作り始めたのは2009年頃からだね。

—ヒップホップからダンスミュージックにシフトしたきっかけは何だったんですか?

大学に行って、ブロークンビーツやUKファンキーを聴き始めてから、少し真似してUKファンキーっぽいトラックを作るようになって、そこからだんだんハウスに寄っていったんだ。

Performing at AIR ©Yusaku Aoki / Red Bull Content Pool
Performing at AIR ©Yusaku Aoki / Red Bull Content Pool

—先日Kerri Chandlerと共演した時のあなたのプレイは終始ハウスが基礎にありましたね。どういうことを意識したDJだったんですか? Kerri Chandlerのことは意識しましたか?

最近はいつもハウスをかけているけど、その日のオーディエンスや会場によってどういうタイプのハウスをかけるかっていうのはちゃんと意識しているよ。こないだのプレイはKerri Chandlerが次に控えているからこそ、いつもよりハウシーになりすぎずにダンシー(Dancey)であることを意識した。最初の1時間は変則的なリズムのトラックを中心にかけて、段々とストレートな4/4キックのトラックへと移していったんだ。ハウスには様々なタイプがあるから、ハウスの範囲内でも時と場所によって変化をつけられると思うよ。

―あなたが音楽を通して表現していきたいことはなんですか?

1番の目的は俺の音楽でみんなを踊らせること。クラブ・ミュージックを作っている限りは俺の曲でみんなに踊って欲しいと願っているし、クラブで自分の曲をプレイして、みんなが踊ってくれた時が1番名誉を感じる瞬間だね。

—では、RBMAに参加して、スタジオで過ごしたり、色々なアーティストのレクチャーを受けてみて、学んだことは何ですか?

印象に残っているレクチャーは、Benjamin Wright Jr.とMtumeのレクチャーだね。2人とも長年活動しているから経験豊富だし、彼らがしてくれた昔の話はためになったよ。それと、2人ともレクチャーが終わった後のカジュアルな会話の中でも、真摯に俺の疑問に答えてくれて感動したよ。あと、人間関係については学ぶことが多かった。RBMAの参加者はみんな違う国から……、例えばMickey(Mickey de Grand IV)はマイアミから、Blinky(Blinky Bill)はナイロビから来ていて、それぞれ違う文化を持っていて、違う性格なのに、作っている音楽は共通しているところがあって、音楽だけでも親密に繋がれて、とても楽しかったよ。

Ossie & Blinky Bill ©Dan Wilton/Red Bull Content Pool
Ossie & Blinky Bill ©Dan Wilton/Red Bull Content Pool

—RBMAを終えた後の活動はどういう予定ですか?

今度リリースされるHyperdubのコンピレーション……次は『Hyperdub 10.4』かな? それに、俺の友達のPHRHと作った「Ugly Observation」っていうトラックが収録されているよ。ソロだと、来年に2〜3曲のEPを〈Hyperdub〉からリリースする予定。別でシングルをリリースする話も既にある。あと、来年はアルバムもリリースしたいから、今はそのための制作に集中しているよ。

—順調ですね。

ははは、ありがとう!

 


Ossie : Website / Twitter / Facebook / SoundCloud

今年の1月に行われたBoiler RoomでのDJ



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