INTERVIEW

Oh Wonder

「私たちふたりとも、スターになることなんて夢見てなかった」――いよいよ初来日が迫る男女デュオのこれまでの足跡を辿る

SoundCloudに毎月一曲ずつ楽曲をUPするという試みがバズを呼び、その楽曲のクオリティも相まり瞬く間に注目を集めたサウス・ロンドン発の男女デュオ、Oh Wonderが8月7日(月)に初来日公演を開催する。

しかも今回の来日公演は、2015年リリースの1stアルバム『Oh Wonder』以来、およそ2年ぶりとなる2ndアルバム『Ultralife』を今年7月14日(金)にリリースしたばかりの絶好のタイミング。前作リリース以降、ベッドルームから世界へと羽ばたき、数え切れないほどのライブをこなし、名実ともに世界的なバンドへと成長を遂げた彼らの最新パフォーマンスを体験することができるまたとない機会となっている。

そんな一夜限りの来日公演に合わせて、Spincoasterでは英メディア「Evening Standard」に掲載されたインタビューの和訳を掲載。彼らのこれまでの道のりを辿りつつ、各々のパーソナルな部分にまで踏み込んだ内容となっている。彼らの音楽がどのようにして生まれたのか、そして新作で起こった変化とその背景について、本記事を読めば理解が深まるはずだ。


ある天気の良い午後にOh WonderのふたりがBrockley caféに顔を伏せることもなく堂々と現れたのには少し驚いた。

サウス・ロンドンに拠点を置くJosephine Vander GuchtとAnthony Westは、従来の方法でエレクトロ・ポップ・デュオとしてのキャリアを築いたわけではない。まずは、2014年9月から2015年9月の期間、毎月SoundCloudに1曲ずつポストしていた楽曲たちが、アルバムに収録するに相応しいほどの素晴らしいクオリティーであったこと。それから、2015年9月にデビュー・アルバム『Oh Wonder』をリリースすると、そのほぼ全ての楽曲が既にファンに馴染みがあるにも関わらず、アルバムはチャート上位に食い込んだ。そして、2015年9月16日、ICAでふたりは初めてのライブを行った。

「ビジネス的に成功したわけでは無かった」とJosephineは語る。「だけどファンは喜んでくれた。アーティストが新譜をリリースすると、彼らはしばらくアルバムを楽しむとまた別のものに関心が移る。だけど、一年も誰かの音楽にずっと浸っていると、本当に好きになってくるでしょ? ずっと聴き続けていると、それにお金を落としたくなるものなの」

遅ればせながら、デュオは今や正式なバンドであり、新作『Ultralife』のレコーディングとライブでは共にプレイするベーシストとドラマーがいる。引き続きスケジュールに間に合うように新曲制作を進めているが、2016年4月にNew Yorkで6曲を書き、また別の6曲を昨年9月に一週間で仕上げた。オンライン上に最初に楽曲をポストした時は、自分たちの顔を表に出すのを控えていたが、今回はアルバムのジャケット写真に本人たちが登場している。

楽曲のほとんどはJosephineの両親宅の地下でオンライン上にポストする目的で制作していた初期から一転、その一年後には世界中で160を超えるギグをこなすように至ったという劇的な変化について歌ったものだ。

彼らと話していると、まるで高いところに辿り着いた現実に若干恐怖を感じているように見受けられる。夢、そして楽曲タイトルにしたように「ウルトラ」なことを実現しているにも関わらず、華々しい世界とは遠いところにいる。私たちが会った時、彼らはコーチェラへの出演を控え、ツアーを再開するためにちょうどカリフォルニアに戻るところだった。「OW」と大きく象られた新しい照明セットを揃えるのに借金をした。ギグが終わったら、その照明セットを逆さにすれば、デンマーク出身のポップ・アーティスト、MØに売れるかもしれないと冗談を飛ばしていた。そして、今年のブリット・アワード・パーティーに出席した際に、Katy PerryとEllie Gouldingと同じテーブルになってしまい、呆然とし過ぎて彼女たちを眺める以外何も出来なかったと話してくれた(彼らは授賞式には参加していない)。

彼らがどう受け取ろうが、優しく絡み合うような歌声の美しいポップ・ソングで、彼らは自分たちの存在感をこの世界に示した。新曲「Lifetimes」の落ち着いたピアノのグルーヴを感じ取ってほしい。きっとすぐにお気に入りの一曲となるだろう。

彼らの楽曲が初めてオンラインにポストされると、瞬く間に彼らの音楽は多くのリスナーを魅了した。「最初の一曲「Body Gold」の再生回数が3日で100,000回を超えた時、SoundCloudで何かが起きてるって思った」と Anthonyは語る。今や新曲「Ultralife」のYouTube再生回数は2週間のうちに100万回以上を記録している。そして今、彼らは本物の名声を手にしているにも関わらず、ちょっとした居心地の悪さを感じているようだ。

「ライブでベルリンに行った時、インスタにホテルの部屋にある電話の写真を上げたんだ。そうしたらファンがどこに滞在しているか気づいて、僕たちがホテルから出てくるのを10時間もロビーで待ってたんだ」とAnthonyは語る。「彼はただ僕たちに挨拶したかっただけだ。もしそのことを知っていたら、彼の一日を無駄にさせることはなかったのに」

興味深いのは、Josephineが音楽を作り始めた時、彼女の夢はRihannaに楽曲を書くことで、自分がRihannaのようになることではなかった。「今まさに彼女に曲を書いているけど、信じられないの。私たちふたりとも、鏡に映る自分を意識するようなタイプでもないし、スターになることなんて夢見てなかった」。Oh Wonderとして初めての楽曲は、バック・ミュージシャンとして雇ってもらう機会を得るために、彼らのスキルを示すことが目的だったのだ。

しかし、我々は彼らが非常に魅力的だということに気づかざるを得ない。当初彼らは、自分たち自身にではなく、自らの音楽にのみフォーカスが当たることを願っていたのは、尊敬にあたることだろう。「私たち自身にフォーカスをあてて欲しいなんて思っていなかったし、ふたりで一緒にライブ・パフォーマンスをするなんて考えてもいなかった。だから、僕たちが偶然に再会したのはすごく無邪気な出来事だったよ」

2012年5月に彼らが初めて一緒にライブ・パフォーマンスを行うビデオがYouTubeに上がっている。AnthonyはメロディアスなFuturesというバンドのボーカルで、メロディアスなインディ・ロックをやっていた。彼らは〈Mercury Records〉と契約をしたが、アルバム・リリースには至らなかった。そして、Futuresは解散前にChiswickレコーディング・スタジオを18人の友人と占拠し、「Karma Satellite」のパフォーマンス映像を撮影した。その映像では、Anthonyの隣でJosephineがピアノを弾き、共に音楽を奏でている。今ではお馴染みのふたりの姿がそこに映し出されているのだ。彼は、Laylaというソロ・アーティストとして活動していたJosephineをプロデュースしていた。そして、彼女は3曲のシングルをセルフ・リリースし、2014年のJohn Lewis Christmasの広告ソングをかけた勝負で、Tom Odellに敗退した。

「たまに昔の楽曲を聴き返すことがあるけど、Oh Wonderよりもずっといいなって思うの」Josephineは語る。彼女は小さな時にどっぷりクラシックに浸っており、バイオリン、ピアノ、オーボエを習っていた。Laylaとしての音楽は、今の彼女がやっている音楽より、より繊細なサウンドだった。「もしOh Wonderをもっと早く始めていたら、私は恐怖に怯えた鹿みたいだったと思う。何にでもイエスって言ってたと思うわ」。

「色んな物の見方を教えてくれた」とAnthonyは過去の失敗を語る。

現在彼らは一緒に住み、どちらかが思いついたアイディアを曲にしている。彼らの関係性について公の場で語ることはないが(「みんな私たちが兄弟だと思ってる」とJosephineは語る)、彼らのソングライティング・スキルはより親密だ。どちらかひとりが楽曲の骨格を書きあげるのではなく、彼らは最初からふたりで作り上げていくのだ。歌詞でさえも。「いつもピアノの前でお互いにアイディアを出し合ってる」とAnthonyは語る。

「家で作業をするのは、長所も短所もあるね。ひとりが「良いアイディアを思いついた!」と言ったと思えば、片やもうひとりはNetflixを観ようとしていたりね」。

しかし、それで成立している。彼らは音楽を通して熱心なファンと繋がっている。それはJosephineにとって、瞬く間にスターダムにのし上がったことよりも、Rihannaの楽曲クレジットに名前が載るよりも、さらに幸せなことである。「ポップ・スターになりたいのは私だけじゃない。音楽は素晴らしいものよ。ちょっとでも誰かを幸せにできるのならば――それが私の今の情熱。わたしたちも素晴らしい人たちに出会い、素晴らしいストーリーを聞いてきた。みんなわかっていると思うけど、音楽は皆の人生の良いところと悪いところを表現したサウンドトラックよ。そのお蔭で、今やっていることが素晴らしいって思えるの」。

Via. Evening Standard

※元記事は2017年4月28日に掲載されたものです。


【イベント情報】

“ OH WONDER Live in Japan”
日時:2017年8月7日(月) Open 18:00 / Start 19:00
会場:代官山 UNIT
料金:スタンディング ¥7,800 (税込・別途 1Drink 代)

※未就学児入場不可

[お問い合わせ先]
LIVE NATION JAPAN info@livenation.co.jp

チケット絶賛発売中!
■イベント詳細:https://www.livenation.co.jp/show/992165/oh-wonder-live-in-japan-/Tokyo/2017-08-07/ja

企画・制作・招聘: Live Nation Japan


【リリース情報】

Oh Wonder 『Ultralife』
Release Date:2017.07.14 (Fri.)
Label:Universal Music
Tracklist:
1. Solo
2. Ultralife
3. Lifetimes
4. High On Humans
5. All About You
6. Heavy
7. Bigger Than Love
8. Heart Strings
9. Slip Away
10. Overgrown
11. My Friends
12. Waste

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