INTERVIEW

Miami Horror

プライベート来日していたMiami Horrorのブレイン・Benjaminをキャッチ! カラフルな新作とアートの関係性、そしてライフスタイルに迫る

大自然溢れる土地柄が関係しているのかどうかはわからないが、オーストラリアはエレクトロ・ポップ・シーンが盛んなように思う。その音楽シーンで代表的なバンドをいくつか挙げるとしたら、メルボルン出身のMiami Horrorの名前はきっとすぐに挙がることだろう。

2011年にリリースされた1stアルバム『Illumination』は、70~80年代のニューウェーヴをモダンに解釈し、洗練されたインディ・サウンドへと昇華。ここ日本でも大きな話題を集めた。そしてこの度リリースされた新作ミニアルバム『Shapes』は2ndアルバムとなる『All Possible Futures』(2015年リリース)から実に2年ぶりのリリースである。Talking Headsに影響を受けたという本作だが、ハウスやディスコ的要素の色濃いダンサブルなスタイルも健在。そこにファンキーなギターが加わり、よりカラフルに、そしてよりポップに進化している。

さて、今回はプライベートで来日を果たしたというバンドのブレインであり、DJやプロデューサー業もこなすBenjamin Plantをキャッチした。音楽だけでなくアートやファッション、ライフ・スタイルについても言及した本インタビューを読めば、アーティストとしての彼の新たな一面が垣間見れるはずだ。

Interview by Aoi Kurihara
Translator:Kanako Nishimura
Photo by Takazumi Hosaka


―久しぶりの日本かと思いますが、すでにどこか回ったりしましたか?

Benjamin:東京はまだ回れてないんだけど、京都に観光に行ったよ。あとは直島っていう離島にもね。そこには大きなミュージアムがあるんだ。友人が行ったことがあって、今回勧めてくれたんだけど、とてもおもしろそうだと思ったから行ってみて。実際すごくよかったよ。

―あなたのInstagramをチェックしたのですが、いつもカラフルな服が多いですよね。今日も赤いキャップをかぶっていますし。何か個人的にファッションにこだわりがありますか?

Benjamin:そうだね、確かにこだわりはあると思うよ。でも言葉にするのは難しいね。写真できちんと残している訳ではないし。1年前は服にこだわって、ドレスアップしてみたりしてたんだけど、今はそうでもないかも。

Let's ride? By @spenceroni

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―ではバンドとしてはどうでしょうか。『The Shapes』のジャケ写ではメンバーがそれぞれ違う色のジャケットを着ていますが、これはメンバーの個性を色で表現しているのでしょうか?

Benjamin:うん。それぞれのカラーがメンバーの個性やパーソナリティーに調和していると思う。僕は様々な色の服をいつも着ているんだけど、この中ではやっぱり青だなって思ったんだよね。

―なるほど、以前リリースしている2枚のアルバムはどちらもピンクの色合いで、バンドのイメージ・カラーのように感じていたのですが、今作ではなぜカラフルに?

Benjamin:今作のアートワークにも一応ピンクは含まれているし。確かに全ての作品を通してピンクは使われているね。でも、これは単なる偶然なんだ。ただ、ピンクは僕のお気に入りの色でもあるけどね。

―(今作のアートワークで着ている)青ではなく?

Benjamin:うーん、実は赤が一番お気に入りなんだけど(笑)。だから今日も赤いキャップを被ってるだろ? Miami Horrorがアートワークにピンクを用いているのは、たぶん僕らの音とマッチするからなんだろうね。

―前作より2年ほど経ってリリースされた今作ですが、なぜフルレングス・アルバムではなく、ミニ・アルバムという形式になったのでしょうか?

Benjamin:このアルバムには1年かかったんだ。昨年はツアーにほとんどの時間を費やしていて。でも、一番の理由はこの作品のコンセプトそのものかな。今作は、僕らがアフリカの音楽とTalking Headsから受けた影響を、ひとつの完成されたパッケージとしてまとめるということだった。このコンセプトに従って作品を作りあげていくにあたって、これよりも曲数が多くなると、ちょっと冗長になってしまうなって。今回、僕らがやりたいことを表現するにはこれで十分だと思ったんだ。

―昨年12月頃にメンバーのAaronが脱退しましたが、そのことはバンドの新たなサウンドに変化をもたらしましたか?

Benjamin:うーん。彼は去年からすでにバンドにはあまり参加していなかったんだ。彼が抜けたことによって、音楽的な影響も少しあったのかなとは思うけど。そこまで大きな変化はなかったんじゃないかな。

―先ほど、Talking Headsの名前が挙がりましたが、具体的に彼らのどういった部分から影響を受けたのでしょうか?

Benjamin:Talking Headsは常に僕らのフェイバリットであり続けるバンドのひとつなんだけど、今作の歌詞を書いている時期によく聴いていたんだ。同時に彼らにインスパイアされたような最近のバンドとかも聴いていた。だから、Talking Headsのリリック・スタイルやコンセプトからも大きな影響を受けていて、それらを僕らなりに今の時代っぽくアレンジしてみたんだ。現代社会のストレスだったり、あとはパーソナルな人間関係のこととか、そういった要素を加えてね。もちろんサウンド的にも影響を受けていて、今回はファンクっぽいギターや様々なパーカッションを取り入れてみたんだ。

―デビュー・アルバムをリリースした2011年からこの6年ほどの間に、周りの音楽シーンは大きく変化していきましたよね。そんな中、Miami Horrorは変わらず70〜80年代の影響が反映された音楽スタイルを保ち続けているのはなぜでしょうか?

Benjamin:まず、音楽を続ける上では自分たちのサウンドを見つけることが大事だよね。僕らの音楽はそんなに周囲の変化とは関係ないものだと思う。周りに流されず、自分のスタイルを保ち続けているバンドからの影響が大きいっていうのもあるね。

―今作の収録曲「Leila」は女性の名前だと思うのですが、誰かモデルなどがいるのでしょうか?

Benjamin:この曲名は特定の誰かを表現したものではなくて、この曲のスタイルそのものなんだ。80’sに活動していたOrange Juiceのディープなボーカルと、ファンクなギターの組み合わせに影響されてね。「Leila」という曲名は、そのサウンド・スタイルをイメージしたもので、もっと抽象的な存在だね。でも、女性の名前がタイトルになっている曲って、たいていいい曲だよね(笑)。

―その「Leila」のアートワークは、ロンドン出身のLynnie.Zが手がけたものですが、彼女とにはどういった経緯で仕事をすることに?

Benjamin:オンラインで彼女と連絡を取ったんだよね。僕らはそういったアーティスト、特にビジュアル・アーティストに興味があって、その中で見つけたのが彼女だった。そういったアーティストたちは、政治的なことを題材にしたり、ミュージシャンとコラボしたりと、とてもおもしろい活動をしていることが多いんだ。

―「Art Car (Dark Love)」のショート・フィルムでは、Spenceroniというオーストラリアのアーティストともコラボしていますが、彼とはどのようにして出会ったのでしょう?

Benjamin:それもお同じ方法だね。ただいいアーティストがいないか探し回った結果、彼に辿り着いただけだよ。実は僕らは一緒に仕事をしてみたいアーティストのリストを作っていて、彼はそのリストの上位に挙がっているうちのひとりだったんだ。今作にインスピレーションを与えてくれたアーティストのうちのひとりで、LAのErin Garciaというアーティストがいるんだけど、彼も車にペインティングをしたりしていておもしろいと思ったんだよ。そうやって探していくうちに辿り着いたアーティストと一緒に仕事をすることが多いんだ。

―そのアーティストのリストの中で、まだコラボしていないアーティストを教えてもらえたりしますか?

Benjamin:それがもう大体コラボしちゃったんだよね(笑)。

―そういったモダンなアーティストたちは、どのようにして探すことが多いのでしょうか?

Benjamin:やっぱりInstagramだね。Instagramがクールなのは、ひとりお気に入りのアーティストを見つけたら、テイストが近いアーティストがその人のポストに写っていたり、フォロー繋がっていたりするから、すぐに同じスタイルのアーティストを見つけられるところだね。

―あなたのInstagramを見ていると、クオリティの高いポートレイトの写真が多いですよね。プロフェショナルとして撮影の仕事をしているのでしょうか?

Benjamin:いや、趣味でやっているんだ。僕のやりたいことではあるんだけれど、中々時間がなくてね。写っているのは大体僕の友人だよ。音楽もやっているから、なかなか写真の方に時間が割けないんだ。

―被写体にはアジア系の女の子が多いですよね。Instagramにポストする際のルールなどはあるのでしょうか?

Benjamin:いや、それは偶然だね(笑)。みんなからよく聞かれるんだけど、彼女たちは僕の友人だよ。友達とか街で会った人をランダムに撮って載せているだけだよ。別にアジア系じゃない人たちの写真も撮っているし。

T.wang in Buenos Aires

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―話は変わりますが、あなたは今LAに住んでいますよね。メルボルンとLAとでは、音楽シーンの違いというものをどう感じていますか?

Benjamin:LAの方がチルな音楽が多い気がするね。それは恐らくその土地や街の雰囲気によるものじゃないかなって。LAは陽気な街だから、ハッピーな雰囲気の音楽が多いと思う。でも、気をつけなきゃいけないのは、ハッピー過ぎる音楽はハイになって世界を失っちゃう可能性もあるということ。

―実は最近ロンドンからLAに移住したミュージシャンを取材したばかりなんです。彼女が言うには、LAは広すぎて自分の音楽コミュニティを見つけるのが大変だそうです。あなたはすでに自分の居場所を見つけられましたか?

Benjamin:イエス! 元々LAに友人がいたからね! LAという街は常に様々な土地から多くの人が訪れていて、実際には誰もそこにはいないかのように感じることもある。だから、僕は友人たちとこの街に一緒にいられることに幸せを感じているよ。
あと、LAには常に色々な人がいるから、そういった人々と話をすることで、おもしろいこともいっぱい起きてくるんだ。その一方、オーストラリアの音楽シーンはやっぱり狭いよね。みんながお互いのことを知っているっていう状態なんだ。だからLAは厳密にはシーンというものがないのかもしれない。みんながみんな好き勝手に音楽を作っている。スタジオに入って色々な人とコラボができる。それぞれのコミュニティがお互いをサポートしているっていう感じかな。みんな同じメンツで同じジャンルをやろうとしないというか、ある意味みんながそういう雑多なひとつのチームになっていると捉えることもできるし。

―アメリカは今、メインストリームではヒップホップやR&Bで埋め尽くされていますよね。オーストラリアでは今何が流行っているのでしょう?

Benjamin:オーストラリアでのヒップホップはアメリカほど大きなムーブメントではないね。アメリカのトップ10はいつもヒップホップやR&Bばかりで、あと最近ではトラップとかもが強いよね。アメリカのヒットチャートをかけるラジオとかだと、ノンストップでヒップホップになったりするね。でも、オーストラリアはちょっと違うんだよね。例えばアメリカで人気のFutureっていうラッパーがいるだろ。彼みたいなのはオーストラリアではあんまりなんだよね。オーストラリアのメインストリームはどちらかというとUKに近いのかもしれない。

―なるほど。最近あなたはMarc Bakerというアーティストのデビュー・シングルのプロデュースを手がけましたよね。どういった経緯で彼のプロデュースを?

Benjamin:元々彼も僕の仲のいい友人のうちのひとりで。彼はガールフレンドと別れた後、音楽を作り始めたんだ。それでEPを作ってリリースしたんだけど、音質もよくなくて、歌っているというよりもスクリームしているって感じだったんだ。でも、同時にエナジーで溢れていてね。それはまるでステージ上でアーティストたちが放つようなもので。さらに、彼のスタイルはパンクでニューロマンティックだった。だから彼のプロデュースをすることにしたんだ。「No Place I’d Rather Be」という曲は特にお気に入りだね。僕がティーンの頃を思い出すんだ。例えば当時聴いていたThe Strokesとかのバンドとかを想起させたりね。それから、彼はソロでの活動だからDavid Bowieのようにひとりで活動するアーティストとも共通しているよね。アイコン的にひとりでスーツを着て音楽をやるというコンセプトが気に入って、それでサポートしているんだ。

―彼の曲は少しダークな部分もあるので、あなたがプロデュースしていたのが少し意外だったんですよね。

Benjamin:そうかな、音楽的要素では僕と共通する部分があると思うよ。フィーリングが同じと言った方がいいかな。僕はNew Orderみたいなニューウェイブみたいな音楽もすごくやりたいんだけど、Miami Horror自体はもう方向性が固まっているから、中々そういったサウンドはできない。だからこそ、代わりにそういう音楽をプロデュースしたりするんだ。

―Miami Horrorではなく、あなた自身は他に何か別のプロジェクトなどをやっていたりするのでしょうか?

Benjamin:こういった他のミュージシャンのプロデュースは他にもやっているよ。あとは、僕自身の音楽プロジェクトもやっているね。(Miami Horrorの)Joshuaが最近ソロで曲をリリースしたけどさ、そういう時ってみんな「Miami Horrorのメンバーのソロ活動」とか、「別プロジェクト」みたいな感じで売り出されるよね。Miami Horrorのメンバーに寄る別プロジェクトはその他にもあるんだ。昨年はツアーやショーで忙しかったりしたけれど、今数曲作っていて、もうすぐリリースできるんじゃないかな。誰かとコラボして曲が作れたりしたらいいね。

―最後に、Miami Horrorとしてのバンドの展望を教えて下さい。

Benjamin:またEPやミニ・アルバムを出し続けていきたいと思っているんだ。フル・アルバムは僕らにとっては結構なプレッシャーなんだよね。みんなが僕らに色々なことを期待したり、予想したりするんだけど、その全ての人の期待をカバーすることはできないからね。だからこそ、ミニ・アルバムとかで何かひとつのコンセプトをまとめて、リリースしていく方がいいと思ってさ。次回はもっとシンセを使って、リズミカルでエモーショナルなものにしたいと思う。僕らのルーツ、例えば1stアルバムの頃のような作品に戻って、現実逃避的な音楽を作りたいね。


【リリース情報】

Miami Horror 『The Shapes (Japan Deluxe Edition)』
Release Date:2017.08.04 (Fri.)
Label:Miami Horror / Manhattan Recordings
Cat.No.:LEXCD17014
Tracklist:
01. Sign Of The Times
02. Trapeze
03. Leila
04. Azimba
05. Dark Love
06. Sign Of The Times (Cyndi Seui Heat Remix) *JPボーナストラック
07. Leila (Boys Get Hurt Remix) *JPボーナストラック

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