Courtney Barnett
NEW MUSIC

Courtney Barnett / Pedestrian At Best


グランジ×ヒップホップ×女性SSW=コートニー・バーネット。 やさぐれギター・ロックの新女王が誕生した!

2015.01.30

本日、遂に待望にも程があるデビュー・アルバム『Sometimes I Sit And Think, And Sometimes I Just Sit』のリリース日(3月24日!)とトラックリストを発表した、オーストラリア・メルボルン出身のシンガー・ソングライター、Courtney Barnett(コートニー・バーネット)。さらにアルバムからのリード・トラックとして、新曲“Pedestrian at Best”のミュージック・ビデオも同時に公開されました。落ちぶれたピエロをコートニー嬢自身が演じており、彼女が主宰する〈Milk! Records〉関連のアーティストや、公私共にパートナーであるJen Cloher、そしてバンド・メンバーも多数登場しております。

デビュー当時のコートニーは「カート・コバーンとキミヤ・ドーソン(モルディ・ピーチズ)のハイブリッドだ」なんて書かれていましたが、ニルヴァーナ→ザ・ヴァインズ→ナイン・ブラック・アルプス(ピエロ=Clown繋がりも)直系のゴリッゴリなファズ・ギターと、「1小節にどんだけ詰め込むねん!」とツッコミたくなるぐらいキレ味鋭い言葉の数々は、さながらグランジに目覚めたザ・ストリーツ。終盤の《I’m a fake, I’m a phoney, I’m awake, I’m alone, I’m homely, I’m a Scorpio.》の畳み掛けるようなフレーズとかヤバ過ぎでしょ(《origami》というワードも出てくる)。そんなマイク・スキナーのようなリアリティに溢れた歌詞をロックに持ち込んだのは、アレックス・ターナーことアークティック・モンキーズの1st『Whatever People Say I Am, That’s What I’m Not』(06年)でしたが、今作『Sometimes I Sit And Think, And Sometimes I Just Sit』は何となく語感っつーか、響きが似てますな。偶然?

Courtney Barnett @ Lane waySG
Courtney Barnett @ LanewaySG by ekatokyo

そもそも昨年の<コーチェラ・フェス>で惚れ込み、帰国後にソッコーでBIG LOVEにて2枚組のEP「The Double EP: A Sea of Split Peas」をGETし、Spincoasterの「Best Tracks of 2014」でも1位に選出させてもらった彼女ですが、その本当の魅力はライヴでの神がかり的なパフォーマンスにあります。というわけで居ても立っても居られず、先週末にコートニーが出演したシンガポールの野外フェス<Laneway Festival>に弾丸フライトで行ってきたのですが(もちろん最前列で堪能)、「生前のカート・コバーンってこんな感じだったのかな?」と本気で考えるくらいギター・ヒロイン然としたオーラ、立ち振る舞い、そして音源の何十倍もRAWでエモーショナルな歌声にますます惚れ直してしまいました(女のコっぽい色気を一切出そうとしてないのも良い)。そこでさりげなく披露されたのが、上の新曲。もうこの時点で、僕の2015年のベスト・シングル、ベスト・アルバム、ベスト・ライヴはすべて決まったと言っても過言ではないです。

いまいち日本では盛り上がりに欠けますが、ピッチフォークやステレオガムも今年マストなアルバムの1枚として速報で取り上げてました。万が一国内盤がリリースされないなんてことがあったら、日本の洋楽史における大いなる損失なので、僕自身、頼まれてもいないのにレーベル関係者に売り込みまくってます(来日してほしいし、他の奴にライナーノーツ書かせたくないし)。ローファイで味のあるアートワークはもちろんコートニー本人によるものですが、1週間ほど前からInstagramなどで立て続けに椅子のイラストをアップしていたのはこーいうことだったんですね。南半球からロック/フォーク/SSWのシーンを塗り替えつつあるコートニー・バーネットの快進撃は、まだまだ始まったばかり。

Sometimes I Sit And Think, And Sometimes I Just Sit

『Sometimes I Sit and Think, and Sometimes I Just Sit』
Mom+Pop Music
2015/03/24 Release

<トラックリスト>
01 “Elevator Operator”
02 “Pedestrian at Best”
03 “An Illustration of Loneliness (Sleepless in NY)”
04 “Small Poppies”
05 “Depreston”
06 “Aqua Profunda!”
07 “Dead Fox”
08 “Nobody Really Cares if You Don’t Go to the Party”
09 “Debbie Downer”
10 “Kim’s Caravan”
11 “Boxing Day Blues”

(Text by Kohei Ueno)


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