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Best Performances from FUJI ROCK FESTIVAL ’16


Spincoasterキュレーター陣が選ぶ今年のフジロックのベスト・アクト!

2016.08.18

記念すべき20周年となった今年のフジロック。ヘッドライナーにsigur rós、BECK、Red Hot Chili Peppersを迎え、チケットも一部ソールドアウトとなるなど、ここ数年でもトップの動員数を記録し、そのアニバーサリーに相応しい盛り上がりをみせました。
ということで、今回はSpincoasterのキュレーターがチョイスする、今年のフジロックで強烈な印象を与えたアーティストたちをご紹介!

フジロックに行かれた方はその記憶に浸りながら、残念ながら今回は行けなかったという方は苗場を頭の中に思い浮かべながら読んでみてください!

Header Photo by Yasuyuki Kasagi
Text By Spincoaster


■KOHH

7/22 (Fri) 13:10〜 WHITE STAGE

今年のフジロックのブッキングの中でも個人的に最高のチョイスだなと思ったひとつがこのKOHHだ。アングラな日本語ヒップホップ・シーンから出てきながらも、既に界隈やジャンル、果ては国境までをも超えた活躍ぶりをみせる新世代のカリスマとなった彼……とはいえ、まだまだ保守的なブッキングが目立つ同フェスにおいてはかなりアウェイな状況。しかし、いつものオーディエンスを煽る爆発力こそ物足りなさを感じてしまったが、トラップを飲み込んだ先鋭的なトラックの数々とそこに乗っかる独特過ぎるフロウでフジロックのオーディエンスを完全に魅了。この日のライブは終始リラックスした空気感で進行していき、まるで仲間内のイベントのような気負わないスタンスで地元の仲間をステージに呼び込み披露された「結局地元 feat.Y’S」の自由な空気感は、フジロックにおいてはかなり新鮮な印象を植えつけたはずだ。(Hosaka)


■Suchmos

7/22 (Fri) 14:50〜 WHITE STAGE

新人の登竜門、ROOKIE A GO-GOに出演した2014年から2年ぶりに苗場に帰ってきたSuchmos。今回はなんとホワイト・ステージです! 大きなステージに萎縮したり逆に力み過ぎたりすることもなく、肩の力の抜けたどこまでも自然体なパフォーマンスを見せてくれた彼ら。最新EPからの「Mint」を筆頭に、ゆったりとしたテンポの楽曲でオーディエンスを気持よく横に揺らせたかと思えば、逆に「DUMBO」ではノイジーなギター・サウンドを展開し、会場を完全にロック! 合間に挟まれるYonceの男前なMCの数々に魅了された女子もきっといっぱいいたはず! 今回はあのアンセム「Stay Tune」は残念ながらプレイされなかったのですが、それでも十分に満足できる文句なしのパフォーマンスでした。(oden)


■D.A.N.

7/22 (Fri) 23:30〜 RED MARQUEE

昨年ROOKIE A GOGOで出演したD.A.NがRED MARQUEEに出演。しかも、WHITE STAGEのDISCLOSUREで踊った後という最高に良い流れで臨んだ今回のフジロック出演。昨年ROOKIE A GO-GOに出演したとはいえ、今年メインステージ初出場とは思えないほど多くのオーディエンスを深夜に集めた彼ら。夜も更けたRED MARQUEEには太く重い低音が鳴り響かせ、「Zidane」では映像を駆使した演出でオーディエンスを魅了。妖艶で、圧倒的に夜が似合う最高にカッコいいステージでした。(Eriko Sakai)


■Mura Masa

7/22 (Fri) 0:30〜 RED MARQUEE

BBC Sound Of 2016の5位に選出された期待のプロデューサー、Mura Masa。未だ20歳という驚きの若さながら、その卓越したソング・ライティングとトレンドの音要素を上手く取り込むサウンド・プロダクションで大きな注目を集める彼だが、まさかライブまでもこれほどクオリティが高いとは正直予想だにしていなかった。重く、鋭くい低音が効いたビートに、JukeやJersey Club、Future Bassなどで使われる音ネタを上手く駆使しながらも、決して型にハマることのない自由度の高いトラックを、リアルタイムでエディットし、時には2台のシンセを駆使して奏で、挙句の果てにはギターまでも弾き始めたのには驚かされた。ボーカリストとして引き連れてきた盟友、Bonzaiとの息もピッタリで、深夜のRED MARQUEEのオーディエンスを終始魅了した。(Hosaka)


■Con Brio

7/23 (Sat) 15:50〜 FIELD OF HEAVEN

前夜祭にてRED MARQUEEに、そして初日深夜はCRYSTAL PALACE TENTと、既に複数のステージでオーディエンスを盛り上げまくったCon Brioが2日目の午後、FIELD OF HEAVENに登場。ソウルやファンク、R&Bといったブラック・ミュージックをベースに横ノリ〜縦ノリが入り乱れる縦横無尽のグルーヴで灼熱のFIELD OF HEAVENを大いに揺らした。
このバンドの魅力は高い演奏力もさることながら、なんと言ってもボーカル・Ziek McCarterのエンターテイナーとしての圧倒的なパフォーマンスだろう。歌唱力・アクション・煽り方……彼の一挙手一投足がこの空間に強力なヴァイヴスを投下すること直結している。座らせたり、声を上げさせたり、踊らせたり、飛ばせたり。オーディエンスへのアジテーションも完璧。そして最後にはバク宙を何度も披露。こ、この男……どんだけ楽しませてくれるんや! 11月の単独公演も必見です!(Nojima)


■BECK

7/23 (Sat) 19:30〜 GREEN STAGE

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事前の企画でもイチオシしたBECKですが、やはりヘッドライナーとして、苗場ではその期待を遥かに超えるパフォーマンスを魅せてくれました!
多くの方やメディアがベスト・アクトに挙げておりましたが「だから言ったでしょー!」という気分でございます(笑)。アンセム「Loser」がまさかの3曲目にプレイされ、「もう少し後にとっておいて欲しかったー!」という気持ちもありましたが、そんな気持ちもなんのその。前半はガッツリとロックな楽曲で攻め、中盤はアコースティックなナンバーを中心にしっとりとブレイクを挟み、ラストはヒット曲でしっかり畳み掛けてくれました。アンコールのメンバー紹介ではChic、David Bowie、Kraftwerk、Princeのカバーをメドレー形式で披露し、先達へのリスペクトも忘れないBECK。46歳とは思えないその体型で魅せるだけでなく、レザー・ジャケットから白のセットアップスーツへの洒落たお色直し。もちろん演奏も文句なし。派手な演出がなくても、ここまで完璧なエンターテインメント・ロック・ショウを体感できたことに全身全霊で感謝の意を表します。(Nojima)


■Kula Shaker

7/23 (Sat) 21:00〜 RED MARQUEE

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大御所アーティストにしては小さめのRED MARQUEEにて行われたKula Shakerのステージ。GREEN STAGEでのBECKの直後、高揚感に溢れた気持ちの中訪れてみると、やはり会場は超満員でパンパン状態。「303」、「Tattva」、「Hush」などのリスナーからも人気の高い往年の名曲郡に加え、アンコールでは「Govinda」を披露し会場は『ジャイヤジャイヤ』の大合唱状態に。Crispian Millsが「See You Soon!」(再来日ライブを予定しているため)といって立ち去った後、まさかの2度目のアンコールで「Hey Dude」。一体感のある会場の掛け声とともに最高のパフォーマンスを繰り広げ、オーディエンスにとって忘れられない一夜を演出した。(Rinjun)


Jack Garratt

7/24 (Sun) 17:50〜
https://www.youtube.com/watch?v=t0FZ3BZkkpc

UKはロンドンを拠点に活動する今年大本命の大型新人、Jack Garratt(ジャック・ガラット)。Brit Awards 2016では期待の新人に贈られる「批評家賞(Critics’ Choice)を、BBC Musicが行うアワードであるBBC Sound Of 2016でも1位を獲得するなど、世界中で話題沸騰中のこのタイミングで初来日が実現。彼の特徴はなんといってもギター、キーボード、パーカッション、ボーカルなど演奏の全てを一人でこなすパッション溢れるパフォーマンス。実は、既に私はアメリカでの音楽フェスSXSWで3度彼のステージを観てきたのだが、その時に観てきた以上にこの日のRED MARQUEEのオーディエンスは湧いていた。そのあまりの歓迎ぶりに、Jackも演奏の合間のMC中につい笑い出してしまうほどだった。「COALESCE」から始まり、終盤には「FIRE」、ラストに「WORRY」と、終始オーディエンスの期待を上回る圧倒的なパフォーマンスでRED MARQUEEのオーディエンスを完全に虜にした。(Rinjun)


Years & Years

7/24 (Sun) 20:00〜

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メンバーがステージに出て来るやいなや前方に陣取った女性ファンから熱烈な黄色い歓声でお出迎えされたUK発の3ピース・バンド、Years & Years。なかでもボーカルのOlly Alexanderはピンク色上下にウサギのリュックを背負って登場し、ステージ上を自由に動き回る。しかし、そんな奔放な動きとは裏腹に、Ollyのボーカルもバックの演奏も安定感抜群。ダンサブルなビートを主体とした人気曲の数々でRED MARQUEEのオーディエンスをガンガンに躍らせまくる。途中、既にライブでは何度も披露されている新曲「See Me Now」やKaty Perryの「Dark Horse」とDrakeの「Hotline Bling」をマッシュアップさせたカバーをプレイするなど、緩急つけたセットリストで会場の空気を完全に掌握。GREEN STAGEではそろそろレッチリが始まる……という時間帯だったのにも関わらず、結局最後までRED MARQUEEに釘付けになってしまった方も多かったのではないでしょうか。私もそうです。(ホサカ)


VIDEOTAPEMUSIC × cero

7/24 (Sun) 23:00〜

レーベルメイトでもあり、これまでお互いの作品に深く関与してきた、VIDEOTAPEMUSICとcero。この2組のスペシャル・ライブは今年のフジロックの大きなトピックスの一つでした。もちろんRED MARQUEEは彼らのスペシャルなステージをひと目も見逃さないぞ!とばかりに頭から沢山のオーディエンスが集結。VIDEOTAPEMUSICの巨大VJを背にそれぞれの楽曲を交互に演奏していくスタイルでした。言葉にすればシンプルですが、映像に音楽がついてるとも言えるし、音楽に映像がついてるとも言える、映像と音楽それぞれに新たな彩りが加えられて、それはそれは新しい体験でした。踊れて、笑えてロマンチックな1時間の短編映画を見させていただいたという感じです。(Nojima)


FUJI ROCK FESTIVAL’16
日程:2016年7月22~24日
場所:新潟 苗場スキー場

※来年2017年は7月28日、29日、30日に開催

公式サイト:http://www.fujirockfestival.com/


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