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【REPORT & INTERVIEW】Ásgeir『Afterglow』Listening Party


待望の2ndアルバムをリリースしたÁsgeirが緊急来日! プレミアムな先行試聴パーティのレポート&インタビューをお届け!

2017.05.05

4月28日(金)に、3年ぶりの新作『Afterglow』を日本先行でリリースしたÁsgeir(アウスゲイル)。この数年間、毎年日本に訪れその度に美しく雄大なライブを披露し、着実に日本でもファンを増やしてきた。さらに今年は”FUJI ROCK FESTIVAL ’17″への出演も決まっているだけに、本作はまさに待望のアルバムと言っていいだろう。

そのリリースに先駆けて、Ásgeir本人がプロモーションのために緊急来日。日本のファンへ向けたアルバム先行試聴パーティーが4月13日(木)、Spotify Japanのオフィスにて開催された。

試聴会は抽選に当選した僅か20名程度の幸運なファンを前に、1曲毎に本人が解説をするというスタイルで進行した。今回試聴できたのはまだ未発表であった4曲。

(以下本人コメント抜粋)

■「Where Is My Mind?」 ※Pixiesカバー / 日本盤ボーナス・トラック
「何年か前にNirvanaの曲をカバーした時にも思ったんだけど、この曲もオリジナルで使用されている要素を再現しなくても、例えばピアノと歌だけでも十分成り立つくらいに素晴らしい曲なんじゃないかと思ったんだ。好きにいじらせてもらったよ。フィーリングで思いつきのままにピアノを弾いたり、ビートを乗せて作ったんだけど、方向性が定まってからは完成するまでがすごく早くて、1日くらいでできてしまったよ」

■「New Day」
「アルバムの中ではかなり古い曲になるんだ。部分的だけど6年前にはできていた曲で、それを2015年あたりに完成させて、父親がアイスランド語で歌詞を書いてくれたんだ。今回曲作りにあたって、故郷に帰って何日か父と過ごすことがあって。その時に父が書いてくれたんだよね」

■「Nothing」
「この曲はスタジオでレコーディングしている時にふと思いついたアイデアを録音してみた曲なんだ。普段、僕は曲を書く際、意味はデタラメだけど同時に言葉が浮かんでくることが多くて。いつもはそこから書き直したり、言葉を加えたりしてリリックを完成させるんだけど、この曲に関してはメロディーと一緒に生まれてきた歌詞をそのままレコーディングしたんだ。これ以上、手を加える必要はないなって思ったんだ」

■「Underneath It」
「間違いなく今度のアルバムの中では一番の大曲だと思うよ。パワフルなサビの部分も盛り上がる感じだし、音的にも色々な実験をしていて、僕的にはかなり新しい要素も取り込んでみたつもりだよ。それだけにまとめるのに時間がかかった。数ヶ月かけて何度も形を変えてレコーディングをして完成まで辿り着いたんだ。歌詞についてなんだけど、アルバムの多くで僕の兄が歌詞を書いてくれているんだ。父親がアイスランド語で書いてくれたと言ったけど、その歌詞を英語に訳してくれたのが兄なんだ。だから、今回は家族で作ったアルバムとも言える作品になったんじゃないかな」

さらにÁsgeirのルーツや今の好みを知る、Spotifyプレイリスト『Ásgeir’s Listeng To Now』についての解説も。

「実はこのプレイリストはさっき作ったものなんだ。作った時間が出るからバレちゃっているんだね(笑)。下の方にある曲はアルバムのレコーディング中に聴いていた曲だね。上の方の曲はもうちょっと以前に聴いていた曲になるね。今、聴いているもののほうが当然アルバムへの影響は多いかな。このAlex Banksはとてもいいよ。イングランドのブライトン出身のアーティストなんだけど、最近本人と知り合いになって。エレクトロニクス系のすごくいい曲を作るんだ。Jon Hopkinsに似ているかな。そっくりこのままではないけど、シンセサイザーの使い方とかはこの辺からの影響を受けていると思うね。あと、Moses Hightowerはアイスランドの新しいアーティストなんだけど、彼らも素晴らしい。リスナーとしてはジャンルにあまりこだわりがないんで、バラエティのあるプレイリストになったね。日本人のアーティスト? うーん、残念ながらこれまで日本人アーティストの音楽を聴く機会があまりなくて、大好きなアーティストというのはいないんだ。逆にオススメがあれば教えてほしいな」

Spotifyの担当者からの「このプレイリストはこれからも更新していきますか?」という質問に対しては、「Maybe」とだけ返して会場の笑いを誘った。

イベントの最後にはÁsgeirからの来場者にアコースティック・ミニライブのサプライズが用意されていた。アルバムから「Stardust」、「Unbound」、そして彼の代表曲とも言える「King and Cross」のアイスランド語バージョン、「Leyndarmal」の3曲を披露してくれた。

静寂の中に響く、2本のアコースティック・ギターと歌声のみというシンプルかつ耽美な演奏。誰もが1音1音を噛み締めるように聴き入った。この距離で彼の歌声を聴ける機会が今後どれだけあるだろう。あの場に居合わせた全ての人たちにとって「至福」と呼べる時間が確かにゆっくりと流れていた。

さらに、イベント後に僅かな時間だが、SpincoasterとしてÁsgeir本人にインタビューを行うことができた。


―新しいアルバムはどういったモチベーションからスタートしましたか?

前の作品を完成させてから5年経って、そろそろ新しいチャプターをスタートさせなきゃなという気持ちがあったんだよね。あと、故郷に帰るタイミングがあったから、それも大きいかな。ただ、これまでも僕は自分のために音楽を作ってきたから、自然と新しい音楽が自分のために必要になったからっていうのが一番のモチベーションかな。

―5年経つと世の中の音楽シーンやご自身の関心も変わってきたと思うのですが、そういった変化は作品に反映されていると思いますか?

確かに色々なことが変わったよね。その一方で変わらないこともあって。世間的に人気のある音楽は随分変わったと思うし、ある程度は身近にある音楽から影響を受けたり、連れて行かれちゃうところはあると思うんだ。あと、5年前の状況と比べると、今の方が自分の音楽と世の中とのズレは大きいと思う。だから今の状況には中々ハマんないなぁと思うことはあったんだ。でも、そもそもハメようと思って音楽を作っているわけではないので、いつも通りのアプローチを崩さずに、とにかく自分の好きなもの、いいものを作ろうと思ってできたのがこのアルバムだね。

―このアルバムをどういう風に聴いてもらえたら嬉しいですか?

聴いてくれた人に「希望」を感じてもらえたら嬉しいな。アルバムを聴いてくれた人からは聴いた後に「とても明るいものを感じる」と言ってもらえることが多くて、それはすごく嬉しかったな。歌詞のテーマも「希望」を扱ったものが多いしね。あと、僕はヘッドフォンをつけて静かな空間で、音楽だけに集中できる環境で音楽を聴くのが好きなんだけど、このアルバムも是非そういう風に聴いてもらえると嬉しいかな。

―今年の夏、フジロックでまたお会い出来ますね。前回のフジロックではそれまで降っていた雨が止んで、雲の間から光が差し込み、あなたのために用意されたような素敵なシチュエーションの中でのライブとなりました。

そういえばそうだったね。不思議なことがあるもんだよね。とても楽しいフェスティバルだったことを覚えているよ。今年はそうだね、まず曲数が増えるよね(笑)。セットリストも遊べるかなと思っているんだ。あんまり細かいことはここでは教えられないんだけど、6人のバンド編成で照明なども凝ろうかなと。迫力のあるスケールの大きいショーになっていると思うよ。

―最後に、日本のファンにメッセージをお願いします。

日本のファンはみんな素敵だよね。フジロックだけじゃなくてもっとたくさんやりたいんだけどね。年末とか来年の早い内に単独でもライブができたらいいな。今後のショーで会えることを楽しみにしてるよ。

Interview & Text by Kohei Nojima


【リリース情報】

1.Afterglow
2.Unbound
3.Stardust
4.Here Comes The Wave In
5.Underneath It
6.Nothing
7.I Know You Know
8.Dreaming
9.New Day
10.Fennir yfir
11.Hold
12.Afterglow (Alternate Version)*
13.Unbound (Alternative Version)*
14.Where Is My Mind*
15.Trust*
16.Unbound – Hljóðriti Sessions*
17.Stardust – Hljóðriti Sessions*
18.Where Is My Mind? – Acapella*
19.Dreaming – Acapella*
*日本盤ボーナストラック

※日本盤は先行発売、ボーナストラック8曲、歌詞対訳、ライナーノーツ(内本順一)付


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